| いい加減に、このコーナーも始めよう。実は、このコーナーこそやりたかったのです。どうか、みなさんもおすすめあったら掲示板でも、メールでもいいんで教えて下さい。かなり盛り上げていきたいコーナーなのです。よろしく。 |
|
|
|
2002年8月の1枚
ベートーヴェン作曲−リスト編曲 交響曲第6番 Op.68 「田園」 ピアノ:グレン・グールド
|
久々に会心の一枚。7月はサボったわけではなく、「これぞお勧め!」という一枚に出会わなかっただけである。もちろん、金銭的な理由もあったりするが。
それはそうと、この演奏には目から鱗。ベートーヴェンが意図した和声の響き、メロディーの流れがオーケストラ版よりもずっと明確に表現されている。それはもちろんリストの編曲の巧みさもさることながら、グールドの研ぎ澄まされたタッチと、レガートの美しさによるところは言うまでもない。1楽章の冒頭から圧巻。靄の立ち込める森の中に朝日がさしてくる情景に手が届きそうだ。何度となく聴いた、あまりにも有名な旋律でさえ、これほどまでに新鮮に聴こえるとは!第2楽章は、まるで、ベートーヴェンがハイリゲンシュタットの「伝説の小道」を散策している足音が聴こえてくる様だ。 今回はかなり大げさですが、それほどまでにお勧め、ということです。実は、このCDは、Patataが誇るクラシックバイヤー、S氏の店内企画「ピアノで聴く交響曲」として並べられていた10枚のうちの1枚。このCDのほかにも、第9のピアノ編曲版(ピアノ:小川典子、合唱:BCJ)やブラームスの交響曲のピアノ版、さらにはマーラー「大地の歌」のピアノ版、なんてレアなアイテムまであった。友人の企画するコーナーで今回のような名盤に出会うのはなんとも嬉しい。これからも、魅力ある企画をどんどん打ち出していってくれることを、一S氏ファンとしては願っている。 友人知人に限らず、信頼できる店員さんがいるお店があるって、素敵ですよね。安心して買い物ができるし、漠然とした要望でも、会話の中で自分のほしいものが明確になったり、意見をもらってさらにいいものを見つけたりすることができる。とくにクラシックのCDってやつは、膨大な曲、同じ曲でもこれまた膨大な演奏が存在し、さらには同じ演奏者でも録音年や共演者の違いなど、実に多くの要素があるので、希望のものを手に入れるためには店員さんに相談し、質問することは必須です。Patataメンバー誰もがお世話になっているS氏は今日も吉○寺で頑張っています。みなさん、どうぞごひいきに! というわけで今月はこの1枚で決まり。暑い日が続きますが、グールドの演奏で、涼しい木陰に溢れる田園風景を満喫してください。
|
|
2002年6月の1枚
メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第1番、第2番 アルバン・ベルク弦楽四重奏団 1999年3月(1番)、2000年6月(2番)のライヴ録音
|
アルバンベルクSQ(以下ABQ)、久しぶりの新譜は意表をついてメンデルスゾーンのライヴ録音。テルデックの頃はわからないけれど、少なくてもEMIに移籍してからメンデルスゾーンは初録音のはず。そういえばジュリアードSQの新生メンバー第1作目も同じメンデルスゾーンの1,2番だった。重なるときは重なるのよね。
やっぱり、「アルバン節」が随所に炸裂している。独特の「ため」と「ゆらぎ」、つまりは長年培ってきた完璧4人組にしか不可能なルバートが心地よい。とくに2番では、ピヒラー(1st)の名人芸が炸裂し、自由に歌いまくっているが、もちろん縦の線がずれるわけもない。ただし、趣味の問題なのですが、個人的にはもう少し「曖昧さ」がある方がメンデルスゾーンの初期作品には似合っているような気がする。ABQの精巧無比な演奏には5,6番こそがお似合いなのでは。そういえば、ウィーンコンツェルトハウスSQやバリリSQなど、古き良きSQによるメンデルスゾーンのCDって出てる?きっとすてきな演奏だったのだろうなぁ・・・。 いろいろ言いましたが、総合的にはおすすめの1枚。カルテットの醍醐味を存分に味わえるCDです。ABQの「死と乙女」や「5度」を聴く前にこのCDから入ると、あの強烈な個性に腰を抜かすこともないかもしれない(?)。首都圏にいるうちに、ライブで聴きたいSQのNO.1です。 ちなみに、2番は第2期PatataSQにとって最後の演奏曲目でした。こんなすばらしい演奏がお手本CDが世に出た今こそ、もう一度チャレンジしたくなっちゃいます。
|
|
2002年3月の1枚
吉松隆 交響曲第4番 アトムハーツクラブ組曲 ほか 指揮:藤岡幸夫/BBCフィルハーモニック
CHANDOS (CHAN 9960) |
遅くなりました。3月の1枚です。これに決めていたのです。吉松隆は「現代音楽撲滅協会」なるものを旗揚げし(?)活動している、いわゆる「わかる」「わかりやすい」現代音楽の作曲家である。まぁ吉松氏の詳しいプロフィールや作品リストは、ご本人の公式プロフィールをごらんあれ。
http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/ 交響曲第2番やプレアデス組曲が発表された頃から、私や渋谷君はじめ、Patataメンバーの大好きな作曲家であった。おせじにも、直感的に「美しい」とは思えない、感じれない、いわゆる「わけわからんちん」な現代音楽が多い中で、吉松氏の音楽は、直感的に「美しく」、「うた」を感じることのできる作品を生み出している。そしてこの第4番。1−3番までの交響曲とは異なり、全体的な構成はかなり「軽め」につくられている。が、やっかいな音楽的解説はもうどうでもいいって感じです、この曲は。「可憐」という言葉がまさにぴったり!こんなシンフォニーを待っていた気がします。鳥肌ものは3楽章。ちょっと・・・このピアノの美しきメロディーはなに?音楽って、これでいいんじゃないか!こんなに素直な響きでいいと思う!と、妙に納得してしまった。小生、4月から一人暮らしなわけですが、この曲と一緒にいる一人の時間はなんとも心地よい。まるでシベリウスの小品のように、あんまり大宣伝せずに、一人でコッソリ「可憐」な時間を楽しむに最適な1枚です。第4番が静的な「可憐」であるとすれば、「アトム」は「動的」な、とでもいいますか、のりのりでっせー。
|
|
2002年2月の1枚
バックハウス・ブラームスリサイタル ピアノ:ヴィルヘルム・バックハウス 曲目:6つの小品 Op.118
ラプソディー ロ短調 Op.79−1 ほか |
ブラームスの晩年のピアノ小品集を集めた1枚。演奏は、ブラームスのピアノ協奏曲の名演も印象深い、バックハウスである。 ブラームス好きを自負している私であるが、ピアノ作品に関してはまったくの無知でした(お恥ずかしい)。「6つの小品」は、つい先日、Patataのピアニスト、佐藤春香氏のリサイタルで初めて聴いたのですが、あまりの「名曲度」に度肝を抜かれまして、早速CDを購入した(してもらった)のであります。ブラームス晩年にしか聴くことのできない、「哀」らしい美しさに溢れるこの曲、ぜひ一家に一枚。特に2曲目の間奏曲は涙ものです。 多くのピアニストが録音していますので、優れた演奏が多いことと思います。聞き比べてみるのもまた一興でしょう。
|
|
2002年1月の1枚
ブラームス 「ドイツレクイエム Op.45」 指揮:オットー・クレンペラー ソプラノ:エリザベート・シュワルツコップ バリトン:ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ フィルハーモニア管弦楽団・合唱団 |
みなさんあけましておめでとうございます。2002年、新春早々の1枚はこれです。「重厚な」という表現がふさわしい、正統派ブラームス的名演とでも申しましょうか、ズシんと心に訴えかけてくる演奏です。私はクレンペラーによるマーラーやベートーヴェンの演奏を通して、「ちょっと遅い(テンポ)指揮者」とのイメージがあったのですが、そんな画一的な評価などできない、実に音楽の流れに任せた、締めるところはびしっと締めるテンポ設定。この曲の山場である長大なフーガも、見通しのよい構成になっています。そしてなんといっても20世紀を代表するこの2人のソロときたら!!シュワルツコップの歌声に思わず涙。ゾプラノの、人の声の美しさというものを堪能できます。
この演奏を聴くまでは私の中でカラヤンの最晩年の演奏がこの曲のNo.1だったのですが、今はこれ。断然この演奏です。ブラームスが大作曲家としての道を歩くきっかけとなったこの曲。1年の計を思いつつ、じっくりとに耳を傾けてみてはいかがでしょう。
|
|
2001年12月の1枚
ヘンデル 「メサイア」 演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン 指揮:鈴木雅明 ソプラノ:鈴木美登里 カウンターテナー:米良美一 ほか
KICC217/8 5000円(2枚組み)
|
年末のお勧めは、第九か?クリスマスコンチェルトか??かなり迷うところではありますが、今年はこのCDで。自信を持ってお勧めいたします。
「メサイアって、長くて飽きるなぁ」とか、「ハレルヤ以外は興味ないな」とお思いのあなた(僕はそうでした)にこそお勧めです。もちろん、「すごいメサイア」を聞きたい人にも。演奏は、今や古楽器演奏において世界のトップレヴェルといっても過言ではない鈴木雅明が率いるバッハ・コレギウム・ジャパンによる。 鈴木氏曰く、「本場から遠く離れているからこそ、私たちはバッハの信仰や音楽に対する思い入れがかえって深くなり、ひたむきになれる」との言葉を、随所に感じられる演奏である。古楽器ならではの瞬発力と、たとえ器楽だけの曲でも「歌」を感じさせるやわらかい音色との類まれなるバランスのよさは、ヘンデルの音楽世界へ聴き手の神経を集中させてしまう。器楽のうまさはもとより、宗教音楽の真髄を聴ける合唱のすばらしさは必聴である。決して張り上げない、過剰なビブラートをかけないその均一な歌声はメサイアには理想的であると思う。もちろん、ソリストもブラボー。なかでも、第1部の米良による第6曲のアリア!高音域の伸びと低音の「すごみ」は、「やっぱこの曲はカウンターテナーだよなぁ」とおもいつつ、「このひと、もののけ姫だけじゃないんだよなぁ」と感じ入ってしまう。 親切な解説と歌詞対訳もついているので初めての方も安心です。今年のクリスマスや年末はこのCDでも聴きながらお過ごしになるのはいかがでしょう・・・。
|
|
2001年11月の1枚
マーラー 交響曲第9番 小澤征爾指揮・サイトウキネンオーケストラ |
今回から、「今月の1枚」と題して、毎月必ずお勧めの1枚を紹介いたします。記念すべき1枚目は・・・これ!
今年の1月2日から4日まで、東京文化会館で行われたサイトウキネン・冬の特別公演のライヴ録音。 すごい・・・ライヴの感動を余すところなく伝えている。録音状態もよく、奥行きあるサウンドにきちんと「小澤うなり」も聴き取れる。場内に立ち込めていた緊迫感すら聴こえるほどだ。さすがは世界有数のヴィルトゥオーゾオーケストラ、どのパートも完璧な演奏。よく音楽評論雑誌などで、「小澤のマーラーは端麗すぎる云々」という記述があるが、とにかく、今僕たちが生で聴ける、現代における解釈のマーラーの中で、最高峰がこのコンビによる演奏なのではなかろうか。機能的なオーケストラが完璧なテクニックで曲の細部まで見事に描き出す。たしかに、バーンスタインのような毒々しいまでの感情の爆発も、クレンペラーのような聴き手を押しつぶさんとするかのような重厚さも皆無である。しかし、21世紀にはこれが良い気がする。バランスの取れた情熱と精巧さ・・・とでも言おうか。 秋の夜長にマーラーとはよく言ったもの。虫の声もいつしか消えうせてしまった今宵、マーラーの現代的名盤に耳を傾けてみては? じつは、この演奏会は渋谷君、細谷君と連れ立って1月3日の公演を生で聴いた。徹頭徹尾、涙ぐむ3人であった。
|
| MILVA ベストアルバム |
イタリアの国民的歌手、ミルバの、その名の通りベストアルバム。ミルバのステージの人気曲、「カルーソー」や「リリー・マルレーン」も収録されている。ロドリーゴの代表作「アランフェス協奏曲」の2楽章が原曲の「恋のアランフェス」も聴きものである。
ところで、今回おすすめに掲載したのは言うまでもなく、このアルバムにピアソラ作曲の「oblivion」が収録されているためである。ピアソラは1984年のパリで行われたショーに際して、独唱者としてこのミルバを抜擢し、大成功を収めて以来、このコンビによる名演は多数ある。この録音はその初演時のものである。哀愁にあふれる旋律と作曲者自身によるバンドネオンにのって、ミルバの迫力ある、まさに円熟を感じさせる歌声のアンサンブルは至福の時間をもたらしてくれる。この1曲だけでもこのアルバム、聴く価値有り! Ensemble Patataでは、これまでこの名曲をピアノ三重奏の編成で多くのディナーコンサートで演奏してきたが、10月20日の第9回定期演奏会ではついに歌つき!どんなステージになるかは、当日のお楽しみ・・・。
|
| シューベルト ピアノ五重奏曲「ます」
ヴォルフ イタリアのセレナーデ モーツァルト アイネクライネ・ナハトムジーク(SQ+コントラバス) タカーチ弦楽四重奏団
|
アイネクという曲は、たっくさんの訪問演奏会やらサロンコンサート、結婚式でも決まって1曲目に演奏する曲。正直言って、5年間引き続けて多少飽きてきたりして。
つい先日も、とある演奏会のときに「アイネクは子供だましだね」と、キツーイ一言。たしかに、どんなに有名でも、譜面面が簡単でもされどモーツァルト。ほんとはすごく難しいってことも、奥深いこともわかっちゃいるけどなかなか音にできない。 そんなことで悶々と悩みつつ、それでも各所でアイネク引き続けてきた矢先に出会ったのがこのCD。なんという推進力、躍動感!ハンガリーの弦楽器奏者らしい自由なテンポ感の中に、アイネクの真の姿が垣間見れる。そうか、こんなに楽しい曲だったのか・・・。「なんだ、アイネクか、いまさら買うまでもない」と思ってるあなたにこそ、おすすめ。「ます」もアイネクほどびっくりはしないけれど、いいかんじ。 追伸:アイネクはカルテットでやるよりもコントラバスが入っていたほうがひきやすいよね。
|